Profile Icon

マラソン大会の思い出

僕は小学生の頃とても太っていた。そして、肥満児は足が遅い。

足の遅い僕にとって、年次イベントのひとつである「マラソン大会」は気が滅入るものであった。マラソン大会は、男子児童が先にスタートして、5 分後に女子児童がスタートする、という感じで行われた。

僕は少し走ると脇腹が痛み出し、もともと欠けていたやる気も尽き、とぼとぼ歩きはじめた。皆に追い抜かれ、ついには女子児童にも追い抜かれはじめた。

このとき、女子児童の一人が僕を「歩くなー、がんばれー」と言いながら追い抜いていったことを、たまに思い出す。彼女だって、余裕綽々でマラソンをしていたわけではない。自身も顔を真赤にしながら息を切らしつつ声をかけてくれた。思い出すと、少し感動してしまう。

自分は「人に優しく接するためには、自分自身が元気であることが必要だ」と思っている。だから、なるべく元気でいようと思っている。でも、この子のように「自分がきつい状況にあっても、相手のことを考えられる」ことが真に目指すべき到達点なのかもしれない。