ChatGPT と Google Bard の比較、または再度の ChatGPT への課金
5月11日に Google Bard が日本語をサポートしてから、Google Bard (LaMDA) を利用してきました。ChatGPT の代わりを務めてもらった、ということです。
しかし、いくつかの点で不満を感じたため、涙を飲んで ChatGPT へ戻ろうと決意しました。ただいま ChatGPT。浮気してごめんな...。
まず最初にに Google Bard の「良いところ」を挙げてみようと思います。
- すべての機能が無料で使える
- 回答の生成が (ChatGPT の GPT-4 モデルより) 速い
- (ChatGPT と比較して) 新しい情報も教えてくれる
- 知らないことを「知らない」と伝えられる
4. 知らないことを「知らない」と伝えられる
について補足します。Google Bard は答えられないことは「それについては答えられない」という旨の返答をします。これはハルシネーション (= 情報を捏造してしまうこと) よりも好ましいです。しれっと嘘をつかれると検証に時間がかかるからです。
とはいえ、これにはデメリットもあります。生成 AI を情報ソースとしてではなく対話相手として利用している場合、「それには答えられない」と返されると、そこで会話が止まってしまうのです。たとえば生成 AI が嘘をついたときに「でも、それだと xx と矛盾するよね」と言える方が 対話 としては面白いと思います。むしろ、ChatGPT はそういう使い方ができるのでウケているのだと思います。また ChatGPT に間違いを指摘すると「自分が間違えていました」と認めることもあります。このような誤りを認識し、認める能力こそ、AI における知性を感じる瞬間だと僕は思います。
さて、次は ChatGPT の方が優れていると感じる点です。
- 履歴に「質問と回答のセット」が残る
- (GPT-4 の場合) 生成されるテキストが Google Bard (LaMDA) より信頼できる (要出典)
- スレッド形式で質問可能で、コンテキストをスレッド内でまとめられる
- 各々のスレッドにタイトルをつけられる (最初のタイトルは ChatGPT 自身がつけてくれる)
- (Web UI の場合) サイドバーに過去のスレッドのタイトル一覧が表示されている
- 過去のスレッドから会話を再開することで前提を再入力する手間が省ける
- iOS アプリがある
「生成されるテキストの質」について、僕は ChatGPT の方が優れていると感じています。しかし、実際には UI/UX に関してこそ ChatGPT を高く評価しています。
僕は技術的なトピックに関するディスカッションの相手として生成 AI を活用することが多いです。たとえば AWS で VPC/Subnet の設計をしているときに「この IP アドレスレンジでサブネットAを運用したいんだけど...」とスレッドをはじめて、一通り満足のいく会話をしたとしましょう。新しい要件が出てきたとき、このスレッドに戻ってきて「ところで VPC ピアリングもしたくなったんだけど...」と続けられるのは便利です。これは Google Bard などでは実現しがたい点です。
また、サービス履歴に「質問と回答のセット」が残っていると壁打ちしてもらった内容を一覧できて便利です。Google Bard は (デフォルトでは) 質問のみが残るようになっています。これは意図的な設計だと思うのですが、その質問から再び回答を得ようとすると時間がかかるし、そもそも同じ内容を得られるとも限りません。やはり、質問と回答がセットで残るメリットは大きいです。
最後に iOS アプリの存在も、地味に嬉しいポイントです。携帯のブラウザで同等のことを行えるものの、やはり専用アプリのユーザー体験には及ばないと感じています。
...というような理由から、Google Bard に一旦の見切りをつけて、また ChatGPT の課金ユーザーに復帰しました。半年くらいしたら、また別の生成 AI にスイッチする可能性は残っているけど、しばらくは ChatGPT を楽しもうと思います。